「あれ?久しぶりに万年筆を使おうと思ったら、インクが出ない…どうして!?」そんな経験、ありませんか? 長い間大切にしまっていた万年筆が、いざ使おうとした時に書けないと、がっかりしますよね。でも、ご安心ください! 実は、そのほとんどはちょっとした対処法で劇的に復活させることが可能なんです。
この記事では、万年筆のインクが出ない主な原因から、ご自宅で簡単にできる対処法、さらに日頃のメンテナンスまで、徹底的に解説していきます。大切な万年筆をもう一度、あなたの手で蘇らせましょう!
万年筆のインクが出ないのはなぜ?考えられる主な原因
久しぶりに万年筆を使おうとしてインクが出ない場合、いくつかの原因が考えられます。まずは、あなたの万年筆がどのケースに当てはまるのか、確認していきましょう。
ペン先のインクが乾燥している
万年筆をしばらく使っていないと、ペン先のインクが乾燥して固まってしまうことがあります。特に、キャップがしっかり閉まっていなかったり、インクを入れたまま長時間放置したりすると、この状態になりやすいです。
- 毛細管現象の阻害: インクが固まると、インクがペン先まで吸い上げられる毛細管現象が妨げられ、インクが出てこなくなります。
インクが詰まっている・固着している
乾燥が進むと、ペン先の奥やペン芯(インクをペン先に供給する部分)の内部でインクが固まり、完全に詰まってしまうことがあります。特に顔料インクを使用している場合に起こりやすいです。
- 古いインクの使用: 古いインクや他社製のインクを混ぜて使った場合も、成分が分離して詰まりの原因となることがあります。

インク供給に問題がある(空気の混入、インク切れなど)
インク自体に問題があるケースや、インクがペン先までうまく供給されていない場合もインクは出ません。
- インク切れ: 当然ですが、カートリッジやコンバーターにインクが入っていない場合は書けません。意外と見落としがちなので確認しましょう。
- 空気の混入: ペン先とインクの間に空気が入り込むと、表面張力でインクが下に降りてこなくなることがあります。
- カートリッジやコンバーターの差し込み不良: カートリッジがしっかり奥まで差し込まれていなかったり、コンバーターが正しく装着されていなかったりすると、インクが供給されません。
ペン先が破損している
万年筆を落としてしまったり、どこかにぶつけたりした場合は、ペン先が損傷している可能性も考えられます。この場合は自分で直すのは難しく、専門家への修理依頼が必要です。
万年筆を劇的復活させる!自宅でできる簡単対処法
ほとんどのインクが出ないトラブルは、自宅で簡単にできる対処法で解決できます。上から順番に試してみてくださいね。
まずはこれ!ペン先に「呼び水」をする
最も手軽で効果的なのが、ペン先に「呼び水」をすることです。ペン先の乾燥や、インク供給口に空気が入ってしまっている場合に有効です。
- 清潔なコップに少量の水またはぬるま湯(40℃以下)を用意します。
- 万年筆のペン先(ペン芯も含め、インクが固まっている部分)を水に浸します。
- 数分から数時間、インクが溶け出すのを待ちます。水がインクで色づいたら、新しい水に交換しましょう。
- 水から取り出し、柔らかい布やティッシュで優しく水気を拭き取ります。
- ペン先を下に向けて、軽くトントンと叩いたり、カートリッジ式の場合はカートリッジを軽く押したりして、インクがペン先に降りてくるのを促します。
- 紙に書いてみて、インクが出るか確認します。

それでもダメなら!万年筆の本格洗浄方法
呼び水で改善しない場合や、ペン芯の奥でインクが固まっている可能性が高い場合は、分解してしっかり洗浄する必要があります。万年筆のタイプによって洗浄方法が異なりますので、ご自身の万年筆のタイプに合わせて試してみてください。
カートリッジ式の万年筆の洗浄
- 万年筆の軸を回転させて分解し、使用済みのカートリッジを取り外します(残っているインクは捨てましょう)。
- ペン先とペン芯が付いた部分(首軸)をコップに入れた水またはぬるま湯に浸します。
- 数時間から一晩ほど浸け置きし、インクが溶け出すのを待ちます。水が汚れたら、きれいな水に交換してください。
- 水が透明になるまで、流水でペン先を洗い流します。
- 柔らかい布で水気を丁寧に拭き取り、完全に乾燥させます。数日かけて自然乾燥させるのが理想的です。
- 新しいカートリッジを差し込み、インクが出るか試します。
コンバーター・吸入式の万年筆の洗浄
- 万年筆の軸を分解し、コンバーターを装着したまま、または吸入式の場合はそのままの状態で、ペン先を水またはぬるま湯に浸します。
- コンバーターのピストンを操作するか、吸入式の要領で水を吸入・排出を繰り返します。インクの汚れが出なくなるまで、水を何度も入れ替えて繰り返してください。
- 内部のインクが完全に洗い流されたら、水から取り出し、柔らかい布で水気を拭き取ります。
- 完全に乾燥させます。乾燥が不十分だと、新しいインクと水が混ざって薄くなることがあります。
- 新しいインクを吸入し、インクが出るか試します。

それでも改善しない場合の最終手段
万年筆用クリーナーキットの活用
水やお湯での洗浄で解決しない頑固なインクの固着には、万年筆用のクリーナーキットが有効です。メーカー純正のクリーナーや、市販の万年筆洗浄液を使用すると、より効果的にインクの詰まりを取り除けます。
- 使い方: 製品によって異なりますが、基本的に洗浄液を水で薄め、その中にペン先を浸けたり、コンバーターで吸入・排出を繰り返したりして使用します。
- 注意点: クリーナーの種類によっては、使える万年筆やインクの種類に制限がある場合がありますので、必ず説明書をよく読んでから使用しましょう。特に、顔料インク対応でないクリーナーを使うと、かえってトラブルの原因になることもあります。
ペンクリニックや専門店での修理を検討する
上記の方法を試してもインクが出ない場合や、万年筆を分解することに不安がある場合は、無理をせずペンクリニックや万年筆専門店に修理を依頼しましょう。プロの目で状態を確認し、適切な処置を施してくれます。ペン先の破損など、自分で直せないトラブルも解決してくれますよ。

万年筆を長く愛用するために!日頃のメンテナンスと保管方法
インクが出ないトラブルを未然に防ぐためには、日頃のメンテナンスと適切な保管がとても重要です。ちょっとした心がけで、万年筆は驚くほど長持ちします。
インク詰まりを防ぐ「日常使いの習慣」
万年筆の一番のメンテナンスは、実は毎日使うことです。インクを循環させることで、ペン芯内部でインクが固まるのを防ぎ、スムーズな書き心地を保てます。
- 毎日少しでも書く: メモを取る、日記を書くなど、短い時間でも良いので毎日万年筆に触れる習慣をつけましょう。
- キャップをしっかり閉める: 使用しない時は、必ずキャップをしっかりと閉めて、ペン先の乾燥を防ぎましょう。
定期的な洗浄でコンディションを保つ
毎日使っていても、インクの成分がわずかに残ったり、乾燥したりすることは避けられません。そのため、定期的な洗浄が推奨されます。
- 2〜3ヶ月に一度の洗浄: 頻繁に万年筆を使っている場合でも、2〜3ヶ月に一度は水洗いすることをおすすめします。
- インク交換時の洗浄: インクの色を変える際や、異なるメーカーのインクに交換する際は、必ず洗浄を行ってから新しいインクを入れましょう。インク同士の化学反応を防ぎ、トラブルを回避できます。
長期保管時の注意点と正しい方法
しばらく万年筆を使わない場合や、長期保管する際には、インクを抜いて洗浄しておくことが大切です。インクを入れたまま放置すると、固着やカビの原因になることがあります。
- インクを抜いて洗浄: カートリッジは取り外し、コンバーターや吸入式の万年筆はインクを吸い出して、内部を水でしっかり洗浄し、完全に乾燥させます。
- 湿度の低い場所で保管: 直射日光が当たらず、湿度が低く、温度変化の少ない場所に保管しましょう。専用のペンケースや引き出しの中がおすすめです。
まとめ
「万年筆のインクが出ない」という状況は、万年筆ユーザーなら誰もが一度は経験するものです。しかし、その多くはペン先の乾燥やインクの詰まりが原因であり、今回ご紹介した「呼び水」や「丁寧な洗浄」で解決できることがほとんどです。
大切なのは、慌てずに一つずつ対処法を試すこと。そして、日頃から「毎日使う」「定期的に洗浄する」「適切に保管する」といったメンテナンスを心がけることです。そうすることで、あなたの万年筆はいつも最高の状態で、素晴らしい書き心地を提供してくれるでしょう。
もし、ご自身での対処が難しいと感じたら、無理せずに専門家を頼ることも検討してみてください。愛着のある万年筆が、またあなたの手元で輝きを取り戻すことを願っています。さあ、あなたの万年筆を劇的に復活させて、再び文字を書く喜びを味わいませんか?
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