「万年筆の書き味がなんだか悪い…」「インクフローが安定しない…」そんなお悩み、ありませんか?
もしかすると、ペン先の状態が原因かもしれません。万年筆のペン先調整は専門家に依頼するものと思われがちですが、実は簡単な調整であればご自身でもできるんです!
この記事では、自分でできるペン先調整の基本から、注意点、そしてプロに任せるべき判断基準まで、徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたの万年筆がより一層、最高の書き味になること間違いなしです!

万年筆のペン先調整が必要な3つのサインとは?
万年筆の書き味がしっくりこないとき、どんな症状に気づきますか? ここでは、ペン先調整が必要な代表的なサインを3つご紹介します。
インクフローの不調を見分けるポイント
インクフローの不調は、万年筆の書き味に直結します。具体的には以下のような状態です。
- かすれる:インクが途切れてしまう。
- ドバドバ出る:インクが出すぎて文字がにじむ。
- 書き出しが悪い:書き始めにインクが出にくい。
これらの症状がある場合、ペン先の開き具合や詰まりが原因かもしれません。
書き味の違和感をチェックする方法
「いつもと違うな」と感じる書き味の違和感も、調整のサインです。
- ザラザラする:ペン先が紙に引っかかるような感触。
- ヌルヌルすぎる:滑りすぎて安定しない。
- 筆圧をかけると痛い:ペン先の硬さが合っていない。
ペン先の段差や、左右のずれが影響している可能性が高いです。
ペン先と紙の摩擦の異常を感じたら
書き味の違和感と似ていますが、紙との摩擦に異常がある場合も要注意です。
- キュッキュッと異音がする:ペン先がスムーズに動いていない。
- 紙の繊維を巻き込む:ペン先に引っかかりがある証拠。
これは、ペン先の研磨状態や左右のバランスが崩れているサインかもしれません。

万年筆のペン先を自分で調整する前に準備すべきこと
いざ自分で調整してみよう!と意気込む前に、いくつかの準備が必要です。正しい知識と道具を揃えることで、失敗のリスクを減らし、安全に調整を進められます。
万年筆の構造を理解する
ペン先調整の前に、まずは万年筆の基本的な構造を理解しましょう。特に重要なのは以下の部分です。
- ペン先(ニブ):実際に文字を書く部分。
- ペン芯(フィード):インクをペン先に供給する部分。
- 首軸(セクション):ペン先とペン芯を固定する部分。
これらのパーツがどのように連携しているかを知ることで、調整の目的と効果が明確になります。
安全な作業環境を整える
集中して作業できる環境を整えましょう。
- 明るい場所:細かな部分を見るために必須です。
- 清潔な机:汚れやホコリが付着しないように。
- 下に敷くもの:万年筆を傷つけないために、布などを敷くと良いでしょう。
また、万年筆を分解する場合は、インクで汚れないようティッシュや新聞紙を敷いておくことをおすすめします。
必要な道具を揃える
自分でできるペン先調整には、特殊な道具はほとんど必要ありませんが、いくつか用意しておくと便利なものがあります。
- ルーペや拡大鏡:ペン先の状態を細かく確認するために。
- セロハンテープまたは薄いプラスチック板:ペン先の隙間調整に使用します。
- 清潔な布やティッシュ:インクの拭き取りやペン先の清掃に。
- 薄い板状のもの(カミソリの刃など):ペン先の隙間を広げる際に慎重に使用します。

自分でできる万年筆のペン先調整「3つの基本技」
それでは、いよいよ具体的な調整方法に入りましょう。ここでは、ご自身で試せる基本的な調整方法を3つご紹介します。まずは簡単なものから試してみてください。
インクフローを改善する調整方法
インクフローが悪いと感じる場合、ペン先とペン芯の間の隙間が狭すぎる可能性があります。
ペン先とペン芯の隙間を広げる
用意するもの:セロハンテープの切れ端、または薄いプラスチック板
- 万年筆からペン先とペン芯を取り出せる場合は取り外します。(無理な場合はそのまま行います。)
- ペン先とペン芯の隙間に、セロハンテープの粘着面ではない側や薄いプラスチック板をそっと差し込みます。
- ゆっくりとスライドさせながら、数回抜き差しを繰り返します。
- 書き味を確認し、インクフローが改善されたかチェックします。
注意点:力を入れすぎるとペン先を傷つけたり、変形させたりする恐れがあります。あくまで優しく、少しずつ行ってください。
書き味のザラつきを解消する調整方法
ペン先のザラつきは、ペン先の先端部分に原因があることが多いです。ルーペで確認しながら慎重に行いましょう。
ペン先の段差や左右のずれを修正する
用意するもの:ルーペや拡大鏡
- ルーペを使ってペン先の先端部分を拡大し、左右のペンポイント(ペン先の先端にある球状の部分)が揃っているか確認します。
- もし左右どちらかが少しだけ飛び出している場合は、飛び出している方を下にして、紙の上で軽い筆圧で円を描くように滑らせます。
- 少しずつ調整しながら、左右の高さが揃うまで繰り返します。
注意点:この作業は非常に繊細です。力を入れすぎるとペン先がさらにずれたり、ペンポイントを削りすぎたりする可能性があります。自信がない場合は、この方法は避けてください。

筆圧とインクフローのバランス調整
自分の筆圧に合わせた調整も重要です。インクフローが安定しないと感じる場合、ペン先の開き具合が適切でない可能性があります。
ペン先の開き具合を微調整する
用意するもの:ルーペや拡大鏡、薄い板状のもの(カミソリの刃など)
- ペン先をルーペで確認し、左右のペンポイントの間に適度な隙間があるか確認します。インクフローが悪い場合は狭すぎ、ドバドバ出る場合は広すぎる可能性があります。
- インクフローを増やしたい場合は、ペン先の切れ込み(スリット)に薄い板状のものを差し込み、ごくわずかに広げます。
- インクフローを減らしたい場合は、ペン先を優しくつまむようにして、ごくわずかに閉じます。
注意点:この作業は非常に高度な技術と慎重さを要します。少しでも力を入れすぎると、ペン先が破損する危険性が非常に高いです。初心者の方にはあまりおすすめできません。まずは他の方法を試してみてください。
自分でペン先調整を行う際の注意点とNG行為
自分で万年筆のペン先調整を行うことは可能ですが、いくつかの注意点と絶対にやってはいけないNG行為があります。これらを守らないと、万年筆を破損させてしまう可能性があります。
無理な力を加えない
ペン先は非常にデリケートな部品です。無理な力を加えると、簡単に変形したり、折れてしまったりします。調整はあくまで「微調整」の範囲で行い、少しずつ様子を見ながら作業を進めましょう。
自己責任で行うことの理解
この記事で紹介する方法は、あくまでご自身で行う簡易的な調整です。調整の結果生じた不具合や破損について、当サイトは一切の責任を負いません。不安がある場合は、専門家への依頼を検討してください。
絶対にやってはいけないNG行為
以下のような行為は、万年筆を決定的に破損させる可能性があるので、絶対に避けてください。
- ペンチやプライヤーなどでペン先を挟む:変形や破損の原因になります。
- やすりやサンドペーパーで研磨する:ペンポイントが削れすぎて、書き味が悪化します。
- 無理に分解しようとする:パーツを傷つけたり、元に戻せなくなったりします。
- 熱を加える:ペン先の変形や、ペン芯の溶解につながります。

こんな時はプロにお任せ!専門家への依頼基準
「自分で調整したけどうまくいかない」「これは自分では無理そうだ」と感じたら、迷わずプロの調整師に依頼しましょう。専門家は、高度な技術と専門知識を持っており、あなたの万年筆を最高の状態に戻してくれます。
自分で解決できない深刻な問題とは?
以下のような問題は、ご自身での解決が難しい場合が多いです。
- ペン先の大きな歪みやねじれ:物理的な変形は専門的な工具と技術が必要です。
- ペンポイントの破損や欠け:研磨や再形成が必要になります。
- インク詰まりが頻繁に起こる:ペン芯の清掃や交換が必要な場合も。
- 全体的な書き味の改善が見られない:複雑なバランス調整が必要なサインです。
信頼できる調整師の探し方と依頼の流れ
信頼できる調整師を見つけるには、いくつかポイントがあります。
万年筆専門店や老舗文具店に相談する
多くの万年筆専門店や老舗文具店では、専門の調整師が常駐していたり、調整サービスを提供していたりします。まずは近くのお店に問い合わせてみましょう。
インターネットで評判を調べる
万年筆の愛好家コミュニティやブログなどで、評判の良い調整師や工房を探すのも一つの方法です。「万年筆 調整 〇〇(地名)」などで検索してみるのも良いでしょう。
依頼する際のポイント
依頼する際は、以下の点を明確に伝えるとスムーズです。
- どのような症状か:具体的に書き味の不具合を伝えます。
- いつから症状が出始めたか:使用状況と関連があるかもしれません。
- 希望する書き味:例えば「滑らかな書き味にしたい」「インクフローをもう少し豊かにしたい」など。
調整料金は、万年筆の状態や依頼内容によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ
今回は、自分でできるペン先調整の方法から、注意点、そしてプロに依頼する際のポイントまでを詳しく解説しました。
万年筆のペン先調整は、適切な知識と慎重さがあれば、ご自身でもある程度の改善が期待できます。特に、インクフローの微調整や、軽微なザラつきの解消は、ご紹介した方法で試す価値があります。
しかし、万年筆は非常に繊細な筆記具です。無理な力を加えたり、知識のないまま自己流で調整したりすると、かえって状態を悪化させてしまう可能性があります。少しでも不安を感じたら、迷わず信頼できる専門家、万年筆の調整師に相談することをおすすめします。
ご自身の万年筆が、より快適な書き味になるよう、この記事がその一助となれば幸いです。あなたの万年筆ライフが、これからも素晴らしいものでありますように!
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